記録的な大雨に見舞われた富山県氷見市で、自動車の水没被害が相次いでいます。
市民にとって車は、買い物や通勤、通院など日々の生活を支える大切な移動手段です。
しかし今回の大雨では、多くの車が冠水によって被害を受け、修理工場やレッカー業者にも大きな影響が及んでいます。
報道によると、車両修理やレッカー移動を行うJA氷見市機械燃料センターでは、水没した車が次々と運び込まれ、今後の搬入予定まで含めると約200台に達する見込みとなっています。
さらに、市内全体では水没車が1,000台を超える可能性も指摘されるなど、被害の全容はいまだ見通せない状況です。
なぜ水没した車をすぐに廃車にできないのでしょうか。
そして、実際に愛車が水没してしまった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
当記事では、氷見市で起きている水没車の問題と、豪雨が地域住民や事業者にもたらした深刻な影響などについて深掘りします。
氷見市の大雨で水没車が続出
氷見市では記録的な大雨によって各地で冠水が発生し、多くの自動車が水没しました。
報道によると、氷見市柳田にあるJA氷見市機械燃料センターでは、従業員用だった駐車場に大雨で水没した車約90台が並び、すでに敷地の8割以上を占める状態になっていました。
しかも、これで終わりではありません。
水没車は1日に10台ほどのペースで増えており、今後運び込まれる予定の車まで含めると、約200台になる見込みだといいます。
つまり問題になっているのは、水没した車の修理だけではありません。
「水没車をどこに置いておくのか」という保管場所の確保も、被災地では深刻な問題になっているのです。
大規模な水害が発生すると、住宅や道路だけでなく、こうした被災車両の保管・移動・処分にも大きな負担が生じることが分かります。

水没車を廃車にしたくても動かせない?
「修理できないのであれば、すぐ廃車にすればいいのでは?」
そう考える人もいるかもしれません。
しかし、JA氷見市機械燃料センターに運び込まれた車は、保険の手続きが終わるまで保管する必要があるとのこと。
そのため、次々と水没車が運び込まれても、すでに置かれている車を簡単に移動させることができません。
結果として、新しい水没車が1日約10台ずつ増える一方で、既存の車が敷地に残り続け、保管スペースが圧迫される事態となっています。
また、水没した車は外見上問題がなかったり、一時的にエンジンが動いたりしても、安心できるとは限りません。
JAFによると、車内まで冠水した車は、電装系のショートやエンジンの破損、ブレーキ機構の異常などが発生しているおそれがあります。
そのため、点検を行うまではエンジンを始動しないことが推奨されています。
今回の氷見市のケースは、大規模な水害では「車が水没する」という直接的な被害だけでなく、その後の保険手続き、保管、レッカー移動、廃車などにも大きな負担が発生することを浮き彫りにしています。

氷見市でレッカー依頼も殺到
大雨によって水没車が急増すれば、それを移動させるレッカー業者にも依頼が集中します。
報道では、雨によって一面が冠水した十二町潟周辺をレッカー車が走り回る様子が伝えられています。
高岡市の東自動車でレッカー業務を行う前田隆幸さんは、4日だけで9件を担当しました。
依頼のピークは一旦過ぎたものの、氷見市内では水没した車が1,000台を超える可能性もあると指摘しています。
これほどの規模になると、全ての水没車を短期間で移動させるのは容易ではありません。
車を失った住民にとっては、レッカー移動の後にも保険会社への連絡や修理・廃車の判断、代わりの移動手段の確保など、様々な問題が待っています。
大雨が止んだからといって、車をめぐる被害が終わるわけではないのです。

一家4台が水没
今回の大雨による水没車被害の深刻さを物語るのが、氷見市十二町に住む一家のケースです。
報道によると、この一家では所有する車4台が水没しました。
最後の1台がレッカー移動されるのを見送った女性は、自宅のエアコンも被害を受けており、被害額について「計算したくないくらい」と語っています。
車4台を1度に失う経済的な負担は決して小さくありません。
しかし、問題は車両そのものの金額だけではありません。
自動車が日常的な交通手段となっている地域では、車を失えば、通勤や買い物、子供の送迎、通院などにも影響が広がります。
住宅設備も車も同時に被災すれば、生活を元に戻すための負担はさらに大きくなります。
「水没車1,000台」という数字だけでは見えにくいものの、その1台1台の向こう側には、被災した人たちの日常生活があるのです。
開業したばかりの洗車・コーティング店も被災
今回の氷見市の大雨は、地域で営業する事業者にも大きな被害をもたらしました。
報道で紹介されているのが、今年3月に自宅ガレージを改装して洗車・コーティング業「HiRoove」を開業した清角裕之さんです。
作業所は約60センチ浸水。
作業に使用するコンプレッサーだけでなく、代車2台と自家用車1台も水没しました。
しかも、代車のうち1台は7月中旬に購入したばかりだったといいます。
10数件の予約が入っていたものの、大雨による被災を受け、顧客に作業の遅れを連絡することになりました。
開業して間もない時期に設備や車両が被災することは、事業者にとって非常に大きな打撃です。
それでも、家族や勤務先からの支援を受けながら営業再開に向けた準備を進めています。
今回の豪雨被害は一般家庭だけでなく、地域経済を支える小規模事業者にも広がっているのです。

氷見市では住宅や道路などにも大きな被害
氷見市の大雨被害は自動車だけではありません。
住宅や道路など、市民生活を支えるさまざまな場所に影響が及んでいます。
氷見市は、令和8年8月27日からの大雨災害で被害を受けた住宅を対象に、一定の要件のもと応急修理の申し込みを受け付けています。
また、自宅で生活することが難しくなった被災者に対しては、民間賃貸型応急住宅や公営住宅など、一時的な住まいを提供する制度も案内されています。
こうした支援策が用意されていることからも、今回の豪雨が自動車だけの問題ではなく、住宅や暮らし全体に影響する災害となっていることが分かります。
被災した人は、氷見市が発表する最新の災害情報を確認し、自分が利用できる支援制度がないか確認することが大切です。
水没した車はどうすればいい?
大雨や洪水で愛車が水没してしまった場合、「動くかどうか確かめたい」とエンジンをかけたくなるかもしれません。
しかし、自己判断でエンジンを始動するのは避けたほうがよいでしょう。
JAFは、車内まで冠水した車について、電装系のショート、エンジン破損、ブレーキ機構の異常などのおそれがあるため、各部を点検するまではエンジンを始動しないよう案内しています。
水が引いた後でも注意が必要です。
特に冠水した車両は電気系統の漏電によって火災が発生する可能性があり、JAFはエンジンキーを回したりスタートボタンを押したりしないよう注意を呼びかけています。
ハイブリッド車(HV)や電気自動車(BEV)については、高電圧のシステムを搭載しているため、むやみに触らないことも重要です。
水没・冠水した場合は、まず安全を確保し、無理に車を動かそうとせず、ロードサービスや販売店、整備工場、保険会社などへ相談しましょう。
また、今後大雨に遭遇した場合は「この程度の水深なら走れる」と判断して冠水道路に進入しないことも大切です。
冠水した道路は濁っていることが多く、水深だけでなく、マンホールや側溝など道路上の危険を目視で確認できない場合があります。
JAFも、大雨時には高架下やアンダーパスなど周囲より低い場所への進入を避け、冠水した場所に遭遇した場合は可能な限り迂回するよう呼びかけています。

よくある質問
Q1. 氷見市では水没車が何台発生したのですか?
報道では、氷見市内の水没車が1,000台を超える可能性が指摘されています。
ただし、これはレッカー業者が示した見方であり、市全体の最終的な確定台数を示すものではありません。
Q2. 「廃車200台」とは氷見市全体の数字ですか?
約200台という数字は、JA氷見市機械燃料センターに今後運び込まれる予定の車を含めた見込みです。
記事執筆時点ですでに約90台が置かれ、敷地の8割以上を占めていました。
Q3. 水没した車は修理できますか?
浸水の程度や車種、故障箇所などによって異なるため、一律には判断できません。
水が引いて外見上問題がなさそうでも、電装系やエンジン、ブレーキなどに異常が発生している可能性があります。
必ず専門家による点検を受けましょう。
Q4. 水没した車のエンジンをかけても大丈夫ですか?
点検前に始動することは避けてください。
JAFも車内まで冠水した車について、点検するまではエンジンを始動しないよう案内しています。
Q5. 水没した車をすぐ廃車にできないのはなぜですか?
今回の事例では、保険の手続きが完了するまで車両を保管しておく必要があります。
そのため、水没車が次々と搬入される一方で既存車両を移動できず、保管場所の不足につながっています。
実際の手続きについては、加入している保険会社や車両の保管先などに確認しましょう。

まとめ
氷見市を襲った記録的な大雨では、多くの自動車が水没しました。
JA氷見市機械燃料センターでは約90台の水没車が敷地の大部分を占め、今後搬入される車まで含めると約200台に達する見込みとなっています。
レッカー業者には次々と依頼が入り、一家で4台の車を失った住民もいます。
さらに、開業したばかりの洗車・コーティング店では、作業所が約60センチ浸水し、設備や複数の車両が水没しました。
「水没車」「廃車200台」という数字だけを見ると、自動車被害のニュースに見えるかもしれません。
しかし、その1台1台は、誰かが通勤や買い物、仕事、家族の送迎などに使っていた大切な生活の足です。
さらに水害後には、レッカー移動、修理・廃車の判断、保険手続き、代替車両の確保など、多くの課題が残ります。
住宅や道路などにも被害が広がる中、地域が日常を取り戻すまでには時間が必要になるでしょう。
そして私達にとっても、今回の氷見市の被害は決して他人事ではありません。
大雨の際には冠水した道路へ安易に進入せず、万が一車が水没した場合にも自己判断でエンジンを始動しないこと。
そして、日頃からハザードマップや避難経路、加入している自動車保険の補償内容を確認しておくことが、豪雨災害への備えにつながります。
※記事内の画像にはイメージが含まれています。






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